セラフィックブルー
DC版の方です。

こんな方におススメ
・緊張感のある戦闘を楽しみたい
・伏線のちりばめられたボリュームたっぷりのストーリーをじっくり味わいたい
・残酷な描写にそこまで抵抗は無い
・暗い展開やドロドロした要素も大丈夫

こんな方には合わない可能性が。
・ダンジョン雑魚戦ボス戦諸々をサクサク進めたい
・万人向けの物語を楽しみたい
・グロ要素は苦手
・陰鬱な展開は耐えられない

フリーゲームの名作だと聞いて気になっていたのですが、プレイするのを躊躇っていました。
・クリアまで五十時間はかかる
・ボス戦どころか雑魚戦で死ぬのが当たり前
・独特かつ難解な言い回しが多く、「教えて呉れ」「如何いう心算?」など普通ならひらがなの単語も漢字表記
などなど、なかなか手が出ない要素があります。
序盤の雑魚にいきなり殺されましたから。
毒のダメージって、主人公のHPが300ちょいなら30とかそういうかわいいもんだと思ってました。
一気に60以上減って目を疑った。
さらに、瀕死になっても止まってはくれない。そのまま死にます。
序盤も序盤の段階で猛烈に不安を感じました。
よって、今回は攻略サイトも解禁。
情報無しで何度も挑戦して対策を練るべきなのでしょうが……全部自力だと心が折れる可能性が高い。
単純に戦闘の難易度が高いだけでなく、ダンジョンやボス戦前のイベントシーンに不安と恐怖を覚えるので。
回り道を繰り返すダンジョンに勘弁してくださいと思ったこともしばしば。
ボス戦前の長話も厄介です。
ボスが強いだけならまだいい。イベントが飛ばせないのも仕方ない。
両方が合わさると、全滅した時やり直すのは厳しい。ボス戦前の会話を何度も見たくないので、攻略サイトを頼りました。
こう言うと不満ばかりに聞こえますが、それでも進める原動力となったのは、ストーリーです。
最初の内は「こいつ誰? 何言ってんの?」でチンプンカンプンだったストーリー、キャラの謎が明かされていく様は爽快。
ちらりと出てきた言葉やキャラが意外なところでつながって「あぁ!」と叫ぶのがたまらない。
一章を過ぎた頃から面白さを感じるようになりました。

・戦闘
独特な要素が幾つもあります。
普通、HPはどれくらいか、物理と魔法のどちらが有効か、弱点属性は何かなど、敵の情報は戦っているうちに少しずつ掴んでいくものです。
セラブルでは、戦闘中消費無しに何度でも確認することができます。
敵の情報が最初からわかるからこそ、それを利用して策を練って戦うのが前提となります。
弱点属性や有効な状態異常を知ることができても、十分とは言えません。
一番重要なのは相手がどんな攻撃を繰り出してくるかで、それは表示されませんから。
敵の弱点を突いたら、それを利用されて強烈な反撃が来ることもあります。
弱い敵から倒したら、残った敵が鬼のように強化されるケースも。

また、戦闘終了時、倒れている仲間にも経験値が入ります。
経験値のためだけに攻撃の手を緩めて復活させる必要はありません。
ただ、「一人でも生き残ればいいんだから回復は後回しでとどめだ!」と強引に攻めると、手痛い反撃をくらって壊滅しかねない。
一部の雑魚やボスは、体力が無くなると最期に強烈な一撃を放って倒れます。
ひらたく言えば自爆で、道連れに全滅ということも。
場の属性の変動、種類豊富かつ強力な状態異常の数々など、他にも様々な要素があります。

戦闘以外のシステムも凝っていて、次の目的地が表示されるのが便利。
キャラ辞典や用語集もあり、一度掲載されたものも、物語が進むごとに更新されます。
グラフィックも大量に用意されています。大量の人物に顔グラがあるのがすごい。
音楽も素晴らしく、BGMの効果によって気分が盛り上がりました。
特に好きなのは黒幕との戦いで流れる二曲と天羅の翼です。DYCONもカッコいいですが、歌詞を見た後だとシリアスなバトル中もちらつくようになってしまい……。

※ここからは激しいネタバレ注意。
「プレイしてみようかなぁ」と思っている方は、クリアしてから見た方がいいと思われます。
なるべくボカしたいので「化物」「地上」などの表現を使っていますが、正確さに欠けてしまいます。詳しく知りたい方はプレイしてみてください。

・好きなエピソード
一番印象的なのは17。
戦闘BGMが穏やかだったのが悲しい。
鐘の音やタイトルなど、演出も凝っていました。
後で関連の単語を見て、更新された内容にダメージを受けた。
24突入時、カッコいい音楽が流れ出してテンション上がった。
43の演出もカッコよかったです。タイトルの入り方、そして天空の決戦という燃えるシチュエーションが熱い!

・キャラクターについて
尖った言動のキャラもいれば、マイルドなキャラも。
変態や狂人のインパクトが強いですが、常識的な言動のキャラもちゃんといます。
良くも悪くも強烈なのがヒロインのヴェーネで、同僚、イリエナ、保安官はあまりぶっ飛んだ思考をしないので、見ていて安心します。
ニクソンはツッコみたくなるところもありますが、序盤の常識的な印象が強い。
化物を痛めつけて「堪んねェ……ゾクゾクするぜ」なレイク!
やたらと己の死に惹かれるヴェーネ!
夜の海を見つめながら心中方面で意気投合する二人!
彼らについていけず、「このメンバーで冒険するの?」と心配になっていたところ、止めてくれましたから。
ニクソンが来なければ二人は海に身を投げていたかもしれない。
だからこそ、印象に残るのが○ー○戦とその後のシーンです。
普段すぐ殺気立つレイクを制止する側だった彼が、怒りと悲しみに衝き動かされ仲間に銃を向ける。
あの時は正論という名の言葉の弾丸ぶつけるヴェーネに、頼むから黙っててくれと言いたくなった。
こっちは彼の戦闘前の台詞も踏まえて迷った末にロザリオスナイプでとどめを刺したんだよ!
言ってる内容自体は正しいけど、あの状況で口にするのは正しいとは思えない。
あまりに悲しい出来事に直面して平静さを失っている人間、それも関わりの無い他人ではなく一緒に旅した仲間を、冷ややかな言葉でバッサリ切り捨てる系ヒロイン。
……新鮮でした。
「何で私達が憎まれなきゃならないの? 馬鹿馬鹿しい、やってられないわ」的な発言におわあぁ……となりました。
これまで漫画やゲームの明るく真っ直ぐなお人よしヒロインに「甘いこと言うなぁ」「他の人が危険に晒されるのに」などと思ったこともありましたが、そういうヒロインのありがたさを思い知りました。
逆に、「皆のために頑張る!」的なヒロインに嘘くささを感じて苦手な方にはしっくりくるかもしれません。
彼女がドライなのも仕方ないんですよね。洗脳じみた教育受けて、道具として育てられたので。
それに、後で言いすぎたと反省してたから優しいですよ!
……「そんなろくでもないもの棄てればいいのに」的なことも呟いていましたが。
荒んでいたレイクが徐々に丸くなっていくのに反比例して、ヴェーネの切れ味が増していく。
終盤、質問に答えない敵にサクッととどめを刺す頃には、「さすがヴェーネさん」「それでこそヴェーネさん」と受け止めるようになってました。惨めな姿を晒した敵に「死ね! この負け犬が!」と言い放つヴェーネさんマジ天使。

彼女はただの八つ当たりだと指摘しましたが、それはニクソン本人もわかっていると思います。
それでも、感情を抑えきれなかった。
レイクがエンデに落とされゲオルクが歓喜した場面でも激怒しましたし、熱い男です。
筋違いだと思いながらも止まれない、復讐に走ろうとする心の動きは「そうなるのも無理ないよなぁ……」と共感できます。
自殺するか、復讐する気力すら失い抜け殻になるか、闇に堕ちて戦いの果てに死ぬのではと危惧しました。
出会いを経て踏みとどまり、歩き出してホッとした。
憎しみを完全に捨て切れたわけではないが、子供達は自分の背中を見て育つ。
恨みに駆られた人生を見せるわけにはいかないからと。
データの文章がまたいい。
『一度は復讐を誓ったが、父として彼らに示す生き方として、復讐を放棄し仲間達と共に歩く道を選んだ』。
行動で示そうとするのが熱いですね。
復讐に走ろうとした動機も、思いとどまった過程も、納得しやすい。
序盤の常識担当。
中盤の悲嘆や絶望、憎悪。
そしてそこからの前進と、非常に共感しやすい、応援したくなるキャラでした。
というわけで、一番好きなキャラはニクソンになりました。
ハンターから牧師になるまでの経緯が気になる。
背負った者同士、ランサードとの会話も味がある。
おじちゃんと呼ばれてショックを受けるランサードと慣れてるニクソンに笑った。
ぶっきらぼうなランサードと温厚なニクソンは対照的ですが、「天然記念物だな」「保全する価値は在りませんがね」など、息が合ってます。

戦闘面では高レベルの回復や補助がこなせて、火力が欲しい時はエンハンスかけて物理で殴ればいいので使いやすい。
状態異常耐性を上げられるのも便利。ボス戦で最低限身を守りたい時、あと少し耐性が欲しい時に使える。
特定のボスではTPを減らす技にお世話になりました。あるボスのTPを数回で削りきった時は笑いが出た。
再加入してからは雑魚戦もボス戦もほぼずっと入れてました。
ラスボス戦にも参加させました。前哨戦に出した方が楽だと知りながらも、どうしても最終決戦で使いたかった。
その差はレベルとアイテムで埋めます。
今まで高価な回復アイテムはほとんど使わず、Dヒールボトル・エクスやAリザレクトボトルで凌いでいました。
今こそフルヒールボトルやフェニックスフェザーを購入し、放出する時!
しかし、クラーナ系の準備を忘れてTPを削られ、慌てて持っていた分のクラーナ・エクスやフルクラーナで戦いました。
これまでTP切れで困ることはほとんど無く、道中拾った分や敵からのドロップで賄えたので、購入しておくという発想が無かった。
ヴェーネが回復、ニクソンが補助とロザリオスナイプ、そしてヤンシードリスのコンビで火力を叩き出して勝ちました。

フォクシーやミネルヴァ、ハウゼンも好きです。
フォクシー:投げやりに見えるが何だかんだで前に進むことを諦めていなかった。ミネルヴァとの仲が悪いようで仲が良いやりとりに癒される。保安官との会話にグッときた。
ミネルヴァ:フォクシーとぶつかり合いながら次第に絆を深めていった。この人も常識人で安心できます。
ハウゼン:忠誠心の高さゆえにレイクと揉めたりする。真面目で固いが、どこかズレてるのが面白い。予想以上に重要人物だった。
カーチスも好きでした。勇敢、誠実という評判通り、部下をおいて先に逃げることはせず最後まで残って……退場した時、出番は少ないけどいいキャラだったと思いました。
彼が黒幕の呪縛になっていたと聞いた時、そんなに重要人物だったのかと驚いた。
金髪眼鏡でノクターンのカオスに似た顔立ちのトロイも気に入っています。
ちょっと変わっていますがいい人です。出番が少ないのが残念……と思っていたら再登場して嬉しかった。
後味の悪さではジェラールのエピソードが……。「傲慢で人間を見下していたが、優しさに触れたことで考えを改める」と聞くと、とてもいい話です。
だが、いい話で終わらなかった。その後の顛末を彼が知れば、どう思うのでしょうか。

他に輝いていたのはゲオルクとジークベルトですね。どちらも鬼畜親父です。
ゲオルクは自称・黒獅子なだけあって、胆力や行動力、策謀などに優れる。大物らしさを感じる場面もあります。
娘への態度で台無しですが。
カッコいい所とそうでない所の差が激しい。
ジークベルトはあの迷……名台詞の発言者ですね。
「臨場感を凌駕してリアルに於いて反映実現される、有質量の全ての結果」
難解な言い回しの多いセラブルの中でも、ひときわ目立つ台詞です。
子供が自分の描いたとおりに育つ様を見るのが楽しいと感じるゆえの台詞です。
ヴェーネが切れ味鋭いキャラになったのは大体こいつのせいです。ヴィルジニーに黙らされた時はスカッとした。
グロ話好きなエンデもかなり外道。記憶に残ってるのはゲロについての話がしつこかったことと、少女への仕打ちです。

黒幕は予想外でした。
カッコよくて好きなんですが、復讐の経緯には頷き切れなかったんですよね。
大切な相手が化物になってしまい殺されたため、復讐に走った。応援まではできずとも共感できる動機のはずですが、しっくりこない。
「関係ない奴らもまとめて死ね」なんて滅茶苦茶なのに、自分達は正しいと確信して長々と語ってくるからでしょうか?
中盤のニクソンみたいに、「筋違いだとわかっているけど止まれない!」と言うなら反論する気はあまり起きません。間違っていると自覚している相手に「そんなのおかしい! 間違ってる!」と言っても仕方ないですから。
しかし、「彼女を苦しめたクズどもは死んで当然、この私刑は正当な行為で、跳ね返せなかった弱者が悪い」とあれこれ理屈をつけられると、それは違うんじゃないかと言いたくなる。
シンプルに感情をぶつけてくるだけなら反論しづらいですが、長々と語られると引っかかる部分も出てきます。
嬲り殺されたと憤っていましたが、強大すぎて少しずつダメージを与えるしかなかったんですよね。
その間に大勢の犠牲者が出たことへの言及は無し。受けた仕打ちを語るばかりで、もたらした被害はスルー。
何もしていないのに討たれたのではなく、無数の人間を虐殺した果てに討伐されたわけです。
身を守るために反撃するのは当然なんじゃ……無抵抗で殺されろと言うんでしょうか。
死を祝った云々も、正体も何も知らない人達に、災害級の脅威が斃れて喜ぶなと言うのも無茶な話です。
というか、基本的に地上は巻き込まれる側なんですよね。
彼女を傷つけた人間なんてごく一部で、大半は無関係。攻撃した者達にしても何も知らず、知ったところで他に方法は無かった。
突然恐ろしい化物に襲われ、撃退したら恨まれ、それなりに年月が経った後で蹂躙された地上の人々こそ、憎悪をぶつけたくなるでしょう。
少女を殺したエンデに憤ってましたが、戦乱を招いたことで比べ物にならない数の子供が悲惨な目に遭い命を落としたのでは?
言うことがズレてるのも復讐に染まってるからだと言えばそれまでなんですが、理屈つけて正しいと主張するからツッコみたくなる。
ニクソンの心の動きに納得しやすいと言ったものの、もし彼が関係ない相手も巻き込んで殺した挙句、「これは八つ当たりなどではない、私の行いは正しい!」などと声高に主張したらついていけなかっただろうな。
こう書くとニクソンは相当人間できてるように見えますが、ハンター稼業にのめりこんだせいで妻子に逃げられるなど、問題も無いわけじゃないんですよね。完璧な人格者というわけではありません。

ちなみに、黒幕が世界を滅ぼそうとする理由ば復讐ではありません。
気になる方はご自分の目で確かめてください。
復讐関連で色々言いましたが、それでも好きです。
強大な存在をも手玉に取り、計画を巧みに進めてきたのは黒幕に相応しい。
信念の強さで立場を覆したのは見事。
何より、正体が明かされ姿を現した時の興奮が凄まじかった。
特に最初に戦うことになったキャラが好きでした。落ち着いた物腰で風格を感じた。
詠唱とともに新たな敵が現れた場面と天空の決戦で痺れた。
ただ、一つだけ訊きたい。
何でそんなきわどい服装なんですか?
今にも衣が脱げそうじゃないですか。

ヴェーネが世界を救おうとする姿勢があまり前向きじゃないのも新鮮でした。
普通は「大切な人達を死なせたくない……!」とか「あの人の守ろうとした世界を壊させない!」とかそういうノリでするものだと思っていました。
そんなキラキラしたものではなく、「そう生まれたから、決められているから、求められるから、そうするだけ」と義務感でやろうとします。
本人いわく、心なんか込めなくても世界は救える……そ、そうですか。
そんな姿勢で大丈夫か疑問に思ったら、やはりと言うべきか、それではできないことが判明。
それもこれもジークベルトのせいです。
確かに、世界を救う人材に使命を放棄されたら困ります。
でも、石橋を叩いて渡ろうとしてぶち壊してませんか。
世界を救う道具になれと言われ、使命を徹底的に叩きこまれ、感情を捨てて生きてきたら、最後の最後でそれじゃ駄目だと否定される。
ヴェーネからすればそりゃないわと言いたくなるでしょうね。
色々不安になりましたが、何とか世界は救われた。
仲間達は新たに歩み始めた。
しかし、ヴェーネの問題は解消していません。危うい要素を抱えています。
それでも後味は悪くありません。
プレイしてきて、クリアしてよかったと思える結末でした。
直接の仇でない相手に怒りをぶつけようとした弱さと立ち直った強さのバランスが良くて、ニクソンに好感が持てました。

クリア時のレベルは約150、プレイ時間は六十時間近い結果に。
途中で何度かドロップアイテム収集のために戦闘したので、それを除けばもっとレベルを低く、時間も短くなるでしょうね。
光・天耐性の上がるムーンヴェール、即死無効のライフバイヤーの証、土と石化耐性が完璧なオーブ・オブ・アースは四つずつ、獣王の指輪はヤンシー用に五個集めました。
作中で語られる『救済』なども取り上げるべきかもしれませんが、理解が追いついていないというか、消化しきれていないのでやめておきます。
お腹いっぱいになりました。

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