TRUE REMEMBRANCE 感想

『送電塔のミメイ』の感想を書く前にこちらから書くべきだったかもしれません。
同じ作者様の作品同士、あれこれ比べて語りたくなります。
『True〜』は冬でミメイは夏、など。

特徴
文章が上手くて引き込まれます。
とにかく読みやすい。
ミメイと使われている言葉や言い回しが違っています。
ミメイの方は古風で難しい語が多く、Trueの方はシンプル。
異なった世界を、背景や音楽だけでなく文章で十分に表現しています。
伏線の張り方も回収も見事。
たいした意味は無いように思えることが、後から読み返すと「そういうことだったのか!」となります。
二重契約になってしまったこととか、キョウの回想シーンの内容とか。

・タイトル画面の英文
その文だけ見るとあたりさわりがない内容だと感じますが、エンディングまで行った後だと印象が変わります。
それはミメイも同じですね。

・疑問解消
どうして少女が「ラ」という名前なのか疑問に思いました。
送電塔のミメイでも何故傘を武器にしているのか、どうして傘などで敵にダメージを与えられるか疑問に思い、終盤で見事に解消されました。
明かされた瞬間「そういうことか!」と快感が味わえます。

・BGM
使い方が本当に上手い。
雰囲気にぴったりで、物語を盛り上げてくれます。
特にタイトル画面の曲の使われ方が秀逸。

・記憶
記憶を消して幸せになる者、記憶を消しても追われる者、記憶を消さずに生きる者。
それぞれの形が描かれていて、単純に「こうすれば幸せになる」と決められない。
作中でも言われますが、消すか消さないか、どちらが正しいかではなく、どちらを選んだかが重要になります。
一度決めたらそれが正しかったと信じて進むしかない。

・構図
家族を大切に思うマールと家族の記憶を消したいイーリャなど、対になっている構図が出てきて楽しめます。
ミメイでも、女としての自分を選んだ夜刀の母と、母としての自分を選んだナギさんを比較すると二度おいしい。

・屋敷の主
どこまでが自分の悲しみかわからないという悩みと、それを明かそうとする試み、それを止めた理由を見返すと感慨深いものが。

・類似
ミメイのキャラと重なる要素が多いです。
黒目は夜刀、ラはミメイ、キョウは総一郎などなど、似ているキャラの共通点を探すのも楽しい。

ここからは各キャラクターについて。
黒目
スリ、ピッキング、尾行、銃の扱い方など、何でもござれ。
口数少なく表情もあまり変わらないため起伏に欠ける人物だと思っていたら終盤で色々明かされて納得。
右手との対峙が印象に残っています。


可愛い。
十七歳ということに一番驚きました。
好ましい。

キョウ
サラッとしているがいざという時の頼もしさが気持ちいい。
黒目との近すぎず遠すぎずな友情が爽やか。

イーリャ
記憶を消しても追いつかれると黒目は言っていました。
「超常的な存在に願い事を叶えてもらう」「時を遡って変えようとする」などの手段でも同じことが言えそうです。
直接の出来事を消したり変えたりしても、結局別の形で同じようなことが起こってしまう。
その時また消してやり直すのかどうか。
追いつかれた時の彼女の選択を知りたいという気持ちがあります。

リップス
どじっこテロリスト。
もうテロリストやめろよ!
明らかに向いてないと思っていたらやめました。

アナライ
好きなキャラの一人。
彼の行動は責める気にはなれない。
苦しくてたまらない時に逃れられる相手と出会ったなら、そういう方向で考えてもおかしくはない。
出来るなら背負わせたくないと思っているからこそ黒目に殺してくれと頼んだわけですし、結局は意志を通すことができなかった。
彼の○○の○○を受け取れば消えてしまうはずなのに、そうならなかった理由に心が温かくなりました。

右手
主人公二人を除けば一番好きかもしれない。
・黒目が逃げた責任を問われ処罰されなかったか
・入院している患者との関係は
・セツナ病を憎む理由
・マリアの記憶を奪った時の心境
などなど、知りたいエピソードが山ほどあります。
マリアの件はああするしかなかったのではないかと思います。
毎日泣くほど限界が来ていて、右手も断れないのでは。
何となく憎まれ役になったのではないかと思っています。
最後の場面でも冷酷に振る舞ったものの、撃つ気はなかったようですから。

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